筋トレをしていれば筋肉を大きくしたいと考えるのは当たり前のことです。
しかし、ただただがむしゃらに筋トレをしていたり、とりあえず高重量を扱おうなどと、あまり考えずに行うとなかなか成長できません。
筋肉を肥大させるにはきっかけが必要となりますが、筋トレをして筋繊維を破壊することできっかけを生み出せます。
筋トレで重要な要素として、総負荷量というものがあります。この総負荷量を正しく理解することで、筋肥大のきっかけを生み出すことができ、結果的に成長することができます。
今回は、筋トレの鍵を握る総負荷量について話していきます。
筋トレにおける総負荷量
筋トレにおける総負荷量とは、全体のトレーニングでどの程度の負荷がかかったかを数値化したものです。
また総負荷量によってどれくらいに筋肉に負荷がかかるのかが変わりますので、総負荷量が多いほど、より筋肉を大きくするためのキッカケが作れているということになります。
一般的には、
総負荷量 = 重量 × 回数 ×セット数
で決まります。
例えば同じセット数の場合、10kgで30回、20kgで15回、30kgで10回行なった場合の総負荷量は等しくなります。
この場合どの重さ、回数で行っても筋肉にかかる負荷は同じです。
筋繊維が傷つけられることで、筋タンパク質を合成して筋肉を修復しようとしますが、同じ負荷ならば合成される筋タンパク質の量も等しくなるということです。
強度の低い筋トレでも筋肥大を狙える
つまり低強度の筋トレでも十分に筋肥大を狙えることができます。
これを示す研究結果がありますので、ご覧ください。
There was no significant difference in mean ES between high and low loads
約:高負荷と低負荷の間で平均ES(効果量)に有意差はなかった
引用元(Journal of Strength and Conditioning Research:
Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis)
こちらの研究は、性別や年齢、トレーニングの有無などを加味して筋トレの負荷の強さや頻度、休憩時間の長さなどを調べたものであり、研究結果によると高負荷トレーニングと低負荷トレーニングの間で決定的な筋肥大の差は見られなかったというものが示されています。
つまり、総負荷量が同じであれば、重さに関係なく筋肥大を狙うことができます。
低負荷トレは決して楽ではない
低負荷の方が楽と誤解してはいけません。
低負荷のトレーニングならば一回にかかる負担は小さくなりますが、その分回数をこなす必要があります。
よって基本的には低負荷トレーニングの方が高負荷のものよりキツくなります。
低負荷のトレーニングはまず先に息が切れます。しかし、筋肉的には余裕があるため、息が切れた状態でさらに何回か上げる必要がありますので、これがかなりきついです。
よって低負荷だから楽という考え方は間違っていますので、注意しましょう。
高負荷と低負荷のどちらが優れているのか
高負荷のトレーニングと低負荷のトレーニングには、筋肥大において決定的な優劣がないということがわかりました。
どちらを選択しても筋肥大を狙えるなら、どちらを選択するべきなのでしょうか。
それぞれのメリットとデメリットについて触れていきます。
高負荷低回数のメリットとデメリット
高負荷低回数のトレーニングのメリットとデメリットを挙げてみます。
- 時間がかからない
- より効率的
- 筋力も上がる
高負荷低回数のトレーニングはより少ない回数でトレーニングを終えられるため、時間がかからず効率的というのがメリットです。
時間がなく、なるべく早く終わらせたいと思う方は高負荷低回数のトレーニングを選択しましょう。
また、こちらのトレーニングは筋力が上がります。
まず筋肥大と筋力との違いを明確にする必要があります。
- 筋肥大とは筋肉が大きくなること
- 筋力とは最大挙上重さのこと(1回持ち上げられる重さ)
- 筋肥大と筋力には正の相関があるが、それが全てではない
つまり、筋肉が大きいほど最大挙上重さが上がる傾向がありますが、単純に「筋肉が大きい=筋力が高い」ということではないです。
One Repetition Maximum
There was a significant difference in mean ES between high and low loads
約:最大1回の繰り返し
高負荷時と低負荷時で平均ESに有意差があった
引用元(Journal of Strength and Conditioning Research:
Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis)
こちらの研究結果では、一回上げられる最大の重さは高負荷トレーニングの方が明らかに向上したというものです。
筋肥大に明確な差はなかったものの、筋力にははっきりと差が出たことがわかります。
- フォームが難しい
- 怪我をしやすい
高負荷のトレーニングは重たいものを扱うため、フォームの維持が難しく、怪我の危険性も増加します。
よって体調が悪い日や、パフォーマンスが良くない日などは特に注意しましょう。
低負荷高回数のメリットとデメリット
次に低負荷トレーニングについてメリットとデメリットを挙げていきます。
- 安全に行える
- 怪我中でも行える
まず軽い重量ですので、安全に行えます。また怪我をして無理をできない場合でも、軽いため体にかかる負担は少なくなるので、筋トレを行うことができます。
- かなりきつい
- 筋力は上がらない
先ほども述べましたが、低負荷トレーニングはかなりきついです。
よって筋トレ勢の中で、好んで低負荷トレーニングを選択する人はまずいないと考えてもいいです。
また筋力は上がりませんので、持ち上げられる重さはほとんど変わらないことになります。
筋力がつくことで、行えるトレーニングや、新たなトレーニングの組み合わせなどの発見にもつながりますので、筋力がつかないという観点でもおすすめはできません。
中負荷中回数のトレーニングは双方のいいとこ取りをしている
高負荷トレーニングと低負荷トレーニングにはどちらもメリットとデメリットが存在しますね。
そこで両方のいいところを取ったものが中負荷トレーニングです。
中負荷とは一般的に8~12回程度行える重さのことで、比較的安全に行えて、効率的かつ最大筋力の向上も狙うことができます。
中負荷トレーニングが筋トレの基本とまで言われるようになったのはこのような背景から来ているとも言えますね。
それぞれを組み入れたトレーニング方法
よって効率的で、同時に筋力アップも期待できる中負荷のトレーニングが優れていると言ってもいいです。
その中で高負荷・低負荷トレーニングも上手に行うことで、最も効率よく成長することができます。
主に次のようなときに低負荷のトレーニングを行うと良いでしょう。
- パフォーマンスが良くないときは低負荷トレ
- 怪我中の場合は低負荷トレ
- マンネリを避けるために高負荷や低負荷トレ
- 筋力アップ目的で高負荷トレ
特に、ずっと同じことを行うことで、体がその負荷に慣れてしまい、それ以上の成長を見込めなくなります。
そのようなマンネリを避けるために低負荷トレーニングで、普段と異なる刺激で筋肉を攻めるのは良い手です。
このように「必ずこっちを行う」ということはありませんが、上手に組み入れることでより筋肥大を狙うことが可能になりますね。
筋肥大が起こるセット数とは
総負荷量を上げるためにはセット数も重要でしたね。
よって1セットよりも3セット、5セット、10セットの方が筋肥大に効果的ということが言えます。
しかし何回もセット数を重ねる必要はありません。
本格的なトレーニーを除き、何回もセットが行えてしまうということは、各セットで十分に責め切れていないことがほとんどだからです。
重要なことは各セットで限界まで攻めるということです。
つまり1セット目で筋繊維1本1本を完璧に攻められれば、それ以上する必要はないということです。
しかし、多くの人は1セットでいくら限界まで行ったとしても、限界まで上げられてはいません。
そのため、3セットほど行い完全に筋繊維を傷つけようとしているということです。
これ以上のセット数を行える場合は、各セットで余力を残している可能性もありますので、各セットで限界まで攻めてください。
筋トレ初心者が筋肥大するための筋トレや食事方法についてはこちらをご覧ください。
新しい総負荷量の考え方
総負荷量の求め方は、
総負荷量 = 重量 × 回数 ×セット数
ということでしたが、これだけでは十分ではないこともあります。そこで新しい総負荷量の考え方を示してみます。
総負荷量 = 重量 × 回数と速度 ×セット数
ある実験で最も筋肥大が起こる1セットの時間は45~60秒ほどという結果が出ています。
そのため、回数だけでは一瞬で行っても1回とカウントされてしまいますので、大体8~12回が45~60秒ほどで終われるような速さで行うと最も効率よく筋肥大することができますね。
筋トレを成功させる総負荷量という考え方
今回は筋トレで筋肥大を狙うには総負荷量が関わっているということを説明しました。
以下に筋肥大を行う際のポイントについてまとめます。
- 総負荷量が同じなら低負荷でも筋肥大する
- 高負荷と低負荷のいいとこ取りの中負荷を中心に行う
- 変化を加えるなど適宜高負荷・低負荷を加える
- セット数は3セット程度
- 筋トレ時の速度も重視しよう
初めは理解するポイントが多々あり苦労すると思いますが、正しく筋肥大するために正確に理解できるようになりましょう。
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