5大栄養素
3大栄養素とその役割
人間の体を作る、動かすのに必要な栄養素として、炭水化物、タンパク質、脂質があり、これらを3大栄養素といいます。
炭水化物は脳を動かしたり、タンパク質は筋肉や臓器などの合成に使われたり、脂質はそれらを血液に運ぶのに使われたり、それぞれに役割があります。
体を動かすエネルギーにもなる
また3大栄養素は体を動かすためのエネルギーとしても使われます。炭水化物(糖質)、タンパク質は1gあたり4kcal、脂質は9kcalのエネルギーを持ちます。
<体のエネルギーになる栄養素>
- 3大栄養素はそれぞれ異なった役割を持つと共に、体を動かすエネルギーとして使われる
- 炭水化物(糖質):1gあたり4kcalのエネルギーを持つ
- タンパク質:1gあたり4kcalのエネルギーを持つ
- 脂質:1gあたり9kcalのエネルギーを持つ
5大栄養素
上記の炭水化物、タンパク質、脂質を合わせて3大栄養素と言いますが、これらとビタミン・ミネラルを合わせて5大栄養素といいます。
ビタミン・ミネラルは体の調子を整えてくれますが、3大栄養素とは異なり、エネルギーとして使うことはできません。3大栄養素と同様に生きていくうえで必要不可欠な栄養素となるため、これらも必要量摂取する必要があります。
<5大栄養素>
- 炭水化物
- タンパク質
- 脂質
- ビタミン
- ミネラル
これらの栄養素の役割を簡単に説明していきます。
①炭水化物
炭水化物は糖質と食物繊維からなる
糖質は主に、お米や麺、小麦などの主食に多く含まれ、脳にとって必要な唯一の栄養素です。食物繊維は野菜やキノコ類などに多く含まれ、腸内の善玉菌の餌になったり、腸内環境を整える役割があります。
糖質
糖質は脳の栄養の他に、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられます。筋トレを行うときに、まず初めにこのグリコーゲンが使われ、不足してくると、最後の方に力をふり絞れなくなることもあります。よって、糖質は筋トレ前は特にしっかり摂ったほうが良いでしょう。
そこで、筋トレを行うときには、簡単に糖質を摂取することができるマルトデキストリンがおすすめです!
血糖値の上昇に関与
糖質は血糖値が上がる原因にもなります。糖質を摂ると、糖質は吸収率がいいため、すぐ分解されブドウ糖になって、血液に流れていきます。これによって血糖値が上がります。
このときの、血糖値の上がりやすさを表す指標として、GI値(グリセミック指数)というものがあります。GI値は最大100で、値が高いほど、血糖値が急激に上がることを示しています。
血糖値が上がると、体はインスリンというホルモンを出すことで、血糖値を下げようとします。このホルモンは、血糖値によって分泌される量が変わります。そのため、一気に血糖値が上がると、インスリンもそれに比例して多く分泌され、一時的に低血糖になってしまいます。食事数時間後にお腹が減ってくるのは、血糖値が急激に下がったために、体が栄養がないと錯覚するからです。一度下がった血糖値はその後緩やかに上昇して正常値に戻ります。
糖質を一気に摂取しても、それらを全てエネルギーとして使われる前にインスリンがはたらきます。インスリンは、血液中のブドウ糖をエネルギーとして体に蓄えるのです。これが脂肪となります。
血糖値が急激に上下するのも体によくないですが、インスリンがたくさん分泌されることも脂肪が蓄積されるためよくないです。そのため、血糖値が急激に上がらないように、食事をするときは野菜などから食べたり、糖質の摂取量を見直すなど工夫する必要があります。
食物繊維
食物繊維は人間がエネルギーとして使うことはできないです。この食物繊維は主に腸内の善玉菌の餌になったり、消化されないことから、便を絡みとって腸内環境を整えるなどの役割があります。そのため、食物繊維は意識してたくさん撮ることをおすすめします。
- 炭水化物は糖質と食物繊維に分かれる
- 糖質は脳の栄養素となる
- 食物繊維は善玉菌の餌になるなど、腸内環境を整えてくれる
②タンパク質
タンパク質は筋肉だけでなく、臓器や皮膚、爪などにも使われます。そのため、筋肉を成長させるために、筋トレ初心者は体重の(1.5~2)/1000倍のタンパク質を摂ることをすすめました。
また筋肉は常に合成と分解を繰り返していて、合成は筋繊維の修復、分解は臓器などにアミノ酸を届けるとも説明しました。
そのため、3時間程度に一度タンパク質を補給することで、筋肉が分解され臓器などにアミノ酸として届けられるのを極力防ぐことができます。
- タンパク質は筋肉や臓器、皮膚などに使われる
- 食事からのタンパク質が不足すると、筋肉が分解される
- 3時間に一度補給する
- 1日あたり体重の1.5~2倍のタンパク質を摂る
③脂質
脂質は何かと避けられがちだが、体にとって脂質も必要な栄養素であるため、ある程度は摂取する必要があります。
しかし脂質なら何から摂取してもいいのではなく、良質な脂質を摂る必要があります。例えば、魚などに含まれる脂質やマカダミアンナッツオイルなどはオメガ3脂肪酸という良質な脂質が含まれるため、これらから積極的に摂ることをお勧めします。
逆にポテトチップスやフライドポテトなどのサラダ油を使った揚げ物や、マーガリンなどはトランス脂肪酸という体に望ましくない脂肪が含まれるため、これらからの摂取は極力避けた方がいいでしょう。
- 脂質も健康のためにはしっかり摂る必要がある。
- 魚などの良質な脂質を摂ることを心がける
- ポテチやフライドポテトなどの油は避ける
④ビタミン・ミネラル
3大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質はそれ自体が体を動かすエネルギーになりますが、ビタミン・ミネラルはエネルギーにはならないが、体の調子を整えてくれるのに必要です。例えばビタミンCは疲労回復や免疫力の強化、カルシウムは骨を強くするという役割があります。また女性は貧血になりやすいため、鉄分をとるといいとされる。
しかし、これらの一日に必要なビタミン・ミネラルを食事からすべて摂取するのはとても難しいです。そのため栄養補助食品として、サプリメントから摂取することもお勧めです。
メンテナンスカロリー
体が変化する仕組みを理解しよう
ここでは筋肉を増やす(増量期)、体脂肪を減らす(減量期)ときに欠かせないカロリーについて説明していきます。
メンテナンスカロリー
メンテナンスカロリーとは、人が何もしなくても使用するカロリー(基礎代謝)に、その人の一日の運動量によって変わる定数(運動量レベル)を掛けたものです。
例えば、基礎代謝1500kcalの人が、週に2~3回筋トレを行う場合、運動量レベルが約1.5となり、それらを掛けた2250kcalがメンテナンスカロリーとなります。
つまり、このメンテナンスカロリーが一日の消費カロリーとなり、これよりも摂取カロリーが多ければ筋肉と体脂肪が付き、少なければ筋肉や体脂肪は減ります。
またメンテナンスカロリーを計算してくれるサイトもあります。また一日の摂取カロリーを入力し、タンパク質を体重の何倍摂取するか設定すると、自動で一日に摂取すべき炭水化物、タンパク質、脂質の量も算出できます。この炭水化物、タンパク質、脂質のバランスをマクロバランスというので覚えとくといいです。
- メンテナンスカロリー=基礎代謝(kcal)×運動量レベル
- メンテナンスカロリーを計算できるサイトもある
- マクロバランスを考えて食事を摂る
増量・減量
体に常に変化を与える
長期的に体を大きくしていくには、増量期と減量期を設けたほうがよいです。
筋トレで同じメニューを繰り返していても、筋肉は成長しないのと同じように、体もずっと増量しようとしてもうまくいかないからです。
そのため、増量期と減量期を設けて、常に体に変化を与えることで、筋肉は成長することができます。
増量期と減量期の目的
増量期の目的は、メンテナンスカロリーの章でも説明しましたが、自分のメンテナンスカロリーより摂取カロリーを多くとることで、筋肉をつけることができます。
この際、筋肉と共に脂肪もついてしまうため減量期に脂肪のみを落とすことで、筋肉を残したまま脂肪も少ない理想的な体を作ることができます。
おすすめ周期
増量期・減量期は1年周期で行うとよいです。私のおすすめは、夏で薄着になる時期に一番良い体をもっていきたいため、夏の間は摂取カロリーとメンテナンスカロリーを同じにして、ベストの状態を維持します(メンテナンス期間)。
そして、寒くなってきたら増量期を設けて体重を増やし、その後夏に向かって減量していくという方法です。メンテナンス期間は6~8月、増量期は9月~12月、減量期は1~5月というのを参考にすると良いでしょう。
<おすすめの増量・減量周期>
- 1~5月:減量期
- 6~8月:メンテナンス期
- 9~12月:増量期
①増量期(筋肉を増やしたいとき)
例えば、筋肉を大きくするためにタンパク質をたくさん摂ったとします。しかし、自分のメンテナンスカロリーが2500kcalで、一日の摂取カロリーが2000kcalだった場合、どれだけタンパク質を摂取しても一日に必要な摂取カロリーより少ないため、タンパク質は1gあたり4kcalとして体を動かすエネルギーとして使われ、筋肉を大きくすることはできません。
メンテナンスカロリーよりも摂取カロリーが多くなった分、つまり一日3000kcal摂ったとすると、500kcalが余るため、その分が筋肉や脂肪として蓄えられます。
この際、脂質や炭水化物をたくさん摂取してメンテナンスカロリーを超えた場合、タンパク質は筋肉の修復や臓器などに使われ、より筋肉を大きくするためのタンパク質が不足しているため、結果としてほとんど脂肪として蓄えられることになります。
代わりに、タンパク質をしっかり摂取してメンテナンスカロリーを超えた場合、筋肉の修復や臓器へとタンパク質が使われた後もタンパク質は余っているのため、その分が筋肉を大きくするために使われす。
まとめると、筋肉を付けるにはメンテナンスカロリーよりも摂取カロリーを多くしなければならず、その際タンパク質を十分摂取していないと、筋肉を成長させることはできないということです。
- メンテナンスカロリー<摂取カロリー で筋肉・脂肪が付く
- タンパク質を十分とることで、脂肪より筋肉が付く
増量の方法は主に次の2種類あります。一つ目はタンパク質中心で体脂肪を極力増やさないで行う増量方法で、これをリーンバルクといいます。二つ目はジャンクフードなどあまり食べ物にこだわらずたくさん食べる増量方法で、ダーティーバルクといいます。それらの特徴をまとめます。
<リーンバルク>
- 減量期が減り、増量期が増える
- 食事内容に気を使うため、初心者には難しい
- 筋肥大効率はいい
<ダーティーバルク>
- 減量期が大変になる
- 食事内容を気にせず食べられるため、初心者でも簡単
- 筋肥大効率はあまりよくない
このように特徴をまとめると、リーンバルクの方がいいと思うかもしれませんが、初心者がいきなりリーンバルクを行っても、食事内容がとても厳しくなり、続かない人もでてくると思います。初心者は特に筋肉や体重が増えることで達成感も覚えると思うため、食事内容は厳しくしすぎずに行うことをお勧めします。しかし、ダーティーバルクだと体脂肪の速度も上がって、その分減量期も大変になるため、知識もつけて、筋トレ歴も長くなってきたらリーンバルクで増量してみることをお勧めします。
②減量期(脂肪を減らしたいとき)
減量を行う場合はメンテナンスカロリーよりも摂取カロリーを少なくすることで、その差分を筋肉や脂肪がエネルギーとなって消費されます。
減量期にすることは原理だけを見ると簡単ですが、その中身はもしかしたら増量期よりも大変に感じるかもしれません。
減量期に大切なことは大きく2つあり、1つ目はメンテナンスカロリーより摂取カロリーを少なくすると述べましたが、その内訳としてタンパク質を多く摂っている必要があります。
なぜなら、減量期はただでさえ体に必要な栄養が枯渇しているため、脂肪とともに筋肉も必要であれば分解してエネルギーとして使われてしまうのです。そのため、筋肉の分解を最大限に減らすためには、増量期よりも多くのタンパク質を取ることを心掛けなければいけないからです。
このようにあまりカロリーは摂ってはいけないけど、タンパク質はたくさん摂らなければいけないということは、取るべき食べ物としては、鳥の胸肉やささみなどの低カロリー高タンパク質の食べ物が多くなってしまうため、このような理由からも減量期はしんどいということが言われます。
増量期は初心者は自分の体重×1.5〜2gのタンパク質を取るので十分ですが、減量期は2〜2.5g程度は摂取したいところです。
また、もう1つ大切なこととして、筋トレをするということが挙げられます。筋トレはもうしているよと思っている人もいますが、筋トレを十分行っていれば、脳が筋トレの負荷を脅威に感じ、筋肉の分解を極力抑えようとします。そのため、筋トレも疎かになってしまうと、脳は筋肉を増量期よりも積極的に無駄と判断し、分解してしまうのです。
つまり、減量期は低カロリー高タンパク質でメンテナンスカロリーよりも摂取カロリーを少なくすることを心がけ、筋トレをする必要があるということです。
- メンテナンスカロリー>摂取カロリーで筋肉・脂肪が減る
- タンパク質摂取量は体重×2〜2.5gを目指す
- 筋トレを行うことで筋肉の分解を最小限に減らすことができる。
アミノ酸
アミノ酸を知る
タンパク質を摂ることの重要性はよくわかったと思いますが、ただ単にタンパク質をとっても筋肉が作られない可能性があることを知っておいてください。
タンパク質は分解されるとアミノ酸になって体に吸収されます。アミノ酸は世の中に500種類以上あると言われますが、その中で人を構成するアミノ酸は20種類で、人が体内で生成することができる非必須アミノ酸11種類と、生成することができないため、食事からとる必要がある必須アミノ酸9種類からなります。
アミノ酸スコア
この必須アミノ酸(EAA:Essential Amino Acid)の内、何が多く含まれるかなどは食品によって異なります。またこれらアミノ酸9種類全てがなければ、筋肉を成長させることはできません。このとき、筋肉を作るためにどれだけバランスよくアミノ酸が入っているかを示す指標として、アミノ酸スコアというものがあります。
アミノ酸スコアは最大100で、100に近いほど成分分布が理想的であるということです。そのため、9類の内8種類は理想的な分布を摂っているが、残り1つのアミノ酸が全く入っていないような食品があれば、アミノ酸スコアは0になります。つまり、アミノ酸スコアが高い食品を摂れば、効率よく筋肉をつけることができるということです。
<アミノ酸スコア>
- 100→牛乳、卵、鶏肉、豚肉など
- 90~99→牛肉、豆腐、サーモンなど
- 80~89→ブロッコリー、大豆、あさりなど
では、アミノ酸スコアが低いものは摂ってもあまり意味がないのかというとそうとも言えないです。例えば白米はアミノ酸スコアが65であるが、ご飯に足りないアミノ酸が、豆類には多く含まれます。そのため、ご飯を豆類と一緒に食べると、効率よくアミノ酸を吸収することができるからです。
このように食事の組み合わせ方によっても、どれだけ効率よくアミノ酸を摂取できるかが変わってくるため、知っておくと良いでしょう。
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